福祉施設におけるインフルエンザ対策

2020年01月14日

職員さんや利用者さん個々が実施するべきインフルエンザ対策は、前回の記事のとおりですが、今回は福祉施設におけるインフルエンザ対策をご紹介します。

職員さんの健康管理

「少しぐらい体調が優れなくても無理して勤務しよう」
一見熱心で真面目な職員さんもいらっしゃいます。
しかし、もし職員がインフルエンザ等の感染症にかかっていることを知らずに出勤すると…。
施設においてインフルエンザ等の集団感染が起こってしまうかもしれません。

職員の家族が『発症』した場合も、無理をさせずに休ませるという判断が必要です。
ご本人は健康だとしても出勤を禁止するようにしましょう。
施設において、インフルエンザ等の集団感染が起こってしまうと、施設の運営に大打撃を与えてしまうかもしれません。

対策

ほとんどの場合、菌やウイルスは外部から持ち込まれて感染症が広がります。

人員の確保

インフルエンザ等感染症の流行時には、職員が出勤できなくなる可能性もあることを想定し、予め事業継続に要する人員数の確認と確保できる職員数の把握を行いましょう。
必要人員数が確保できない場合は、退職した職員や地域にいる医療・介護従事者との連携を取り、他機関からの職員の派遣などについても検討する必要があります。

面会者、来客者

面会者、来客者に対しては、次の事項を注意しましょう。

•インフルエンザや風邪症状、下痢等、体調が優れない方の面会はご遠慮いただくこと。
•多人数での面会や飲食物の持ち込みは感染防止の観点からご遠慮いただくこと。
•感染防止のため、施設の入口に近い洗面所で、ハンドソープと流水、ペーパータオルにて手洗い、紙コップでのうがいをしていただくこと。
•どうしても設備的に洗面所がない場合は、手指消毒剤を設置し、手指消毒をお願いする。
•入口にマスクを設置し、着用してもらう。できればサージカルマスク(医療用)が良い。
•特に子ども(中学生以下)の面会は、応接スペース等、居室ではなく決められたスペースでの面会が望ましい。子どもだけではなく、家族も同様にするとさらに良い。

これらは、外部からの菌やウイルスをひろげないための対策です。
•面会簿の記載も忘れずに記入していただきましょう。

高齢者や体力がない人が感染すると

感染症によっては、感染しても症状が出ない(不顕性感染)人がいます。
それでもウイルスを排出し続ける場合があり、周囲の人にウイルスを広めるリスクが高まります。
インフルエンザでは、年度や型によっては高熱が出ない場合もあります。人によって、同じ病原性微生物に感染しても、体がどのように反応するかも異なります。
そもそも感染症によって生じる発熱や痛みなどの症状は、本人にとっては苦痛を伴うものですが、それは体の免疫機構が侵入した菌やウイルスから体を守ろうとする生体防御反応の現れです。
そのため、免疫力が高く治す力が強い若い人や体力がある人ほど、症状が激しくなる傾向があります。

高齢者や体力がない人は、免疫機能が衰えていることが多いので、生体防御反応としての自覚症状が出にくい場合が少なくありません。
そのため、本当は感染していても自覚症状をあまり感じないため、通常の生活を続け、本人も知らない間に周りの人が感染しまうことも多いのです。
それだけでなく、ご本人の病状も進行してしまい、診断が遅れ、肺炎等の重篤な合併症を併発しまうリスクも高いのです。