施設でのインフルエンザ集団感染を防ぐには(予防の仕組み)

2019年01月28日

高齢者施設でのインフルエンザ集団感染が、相次いでニュースになっています。
そこで、インフルエンザの集団感染を防ぐために行うべきことを、感染予防の世界的基準であるCDCガイドラインに基づきお伝えします。

インフルエンザの感染経路

インフルエンザに起こりやすい感染経路は、①接触感染、②飛沫感染です。

①接触感染

接触感染とは、手指、食品、器具などといった経路を通して感染することであり、最も頻度の高い感染経路です。


手指を経路とする感染については、しっかりとした「手洗い」によって防ぐことができます。
感染予防のための「手洗い」方法

しかし、日常においては、感染症の原因となる菌を手に付着させたまま、例えば、ドアノブ、つり革など公共の場の物を触る人も、多数いらっしゃいます。
その手で例えば施設のドアノブ、テーブルなど多数の人が触れるところを触った場合、手指を介して感染につながるリスクも高くなります。
施設においてインフルエンザの集団感染が発生しないよう予防するためには、個々の「手洗い」に加え、菌を除くための清掃(特に多数の人が触れるところ)も重要となります。

②飛沫感染

飛沫感染とは、咳、くしゃみ、会話などにより感染することです。

飛沫粒子により伝播しますが、1メートル以内に落ち、空中を浮遊することはありませんので、患者がマスクをすることで防ぐことができます。

インフルエンザの感染経路の遮断

感染経路を遮断するためには、感染経路別の対策に加えて、感染源を
①「持ち込まない」
②「広げない」
③「持ち出さない」
ことが大切です。

①感染源を持ち込まない

人の出入りが多ければ多いほど、感染源を持ち込むリスクが高くなります。
菌を保有する人や、手指に菌を付着させた人が、施設内に入ってしまうと、感染源を持ち込んでしまいます。
感染症が流行している時期はマスクをしたり、手指の手洗いをしてから施設内に入るよう、施設を出入りする人全てに対し徹底することで、感染源の持ち込みを防ぐことができます。

②感染源を広げない

感染源を広げてしまう原因として、菌を保有する人が咳、くしゃみをすることで、空気感染又は飛沫感染をさせたり、菌を付着させた手指で施設内の備品等を触り、接触感染させることで、感染源はどんどん広がります。
広げないためには、感染経路別の対策が重要です。

③感染源を持ち出さない

感染源を持ち出さないためには、菌が付着しているものは、施設外に持ち出さず、その施設内で処理することです。

感染源を処理するために使用したマスク、手袋などはもちろんのこと。
菌が付着しているかもしれないエプロンやリネンなどを、施設外へ持ち出して洗濯したりしていませんか?
菌が付着しているかもしれない備品等を拭いた清掃用具を、そのまま施設外へ預けたりしていませんか?

菌が付着しているもの、菌が付着している可能性のあるものは、施設外に持ち出さず、その施設内で洗濯等の処理を行うことで、施設外での新たな感染を防ぎます。